代表理事 村井 隆三(おなかクリニック院長)
日本から胃がんを撲滅するために、2014年7月に二十歳のピロリ菌チェックを推進する会(略称ハタピの会)を有志11名とともに設立し、2014年12月にNPO法人として認証を受けました。
二十歳になったらピロリ菌の検査を受けて頂き、感染している方には、除菌治療によってピロリ菌を退治することができれば、ご本人の将来の胃がんのリスクを減らすことができます。また親が感染していなければ、生まれてくる子供たちが感染する可能性も少なくなります。ご自身の胃がんのリスクを減らすばかりでなく、次世代への感染をブロックすることができるのです。
私たちが日常診療の中で、胃がんを見つけて治療しても、残念ながら治らないで胃がんで亡くなる患者さんが後をたちません。胃がんの治療は、早期発見早期治療につきるのですが、一番よいのは予防して胃がんにならないことです。今は予防することができる時代なのです。
尿をとっていただくだけで、ピロリ菌の検査はできます。お子さんやお孫さんの成人式のお祝いに、「ピロリ菌チェック」をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
二十歳になったらピロリ菌チェック! この運動が全国に広まり、日本から胃がんで亡くなる方がいなくなることを願っています。
理事 松久 威史
大部分の胃癌はピロリ菌感染が原因で発生します。
胃がん以外にも、ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍、胃マルトリンパ腫、慢性(萎縮性)胃炎の関連が明らかとなっています。
早期胃癌の内視鏡的切除を受けた人に対するピロリ菌除菌により、胃内の他部位に発生する異時性胃癌が三分の一に減少することがわが国の大規模調査により明らかとなりました。
しかし、胃癌を完全に抑制することはできません。ピロリ菌の感染時期は大部分が乳幼児期で、胃癌を予防するには早い時期の除菌が重要です。
すでに胃癌撲滅を目標に取り組んでいる自治体もあり、中学生、高校生の除菌治療も始まっています。
アメリカのグラハム教授は、日本人の胃癌を減らすには成人式にピロリ菌検査を行い感染者は全て除菌すべきだと述べており、北海道大学の浅香教授もこれを推奨しています。
私たちは、NPO法人二十歳のピロリ菌チェックを推進する会を設立し、胃癌撲滅を目指しています。
理事 藤崎 順子(がん研有明病院 消化器内科)
私は江東区にあるがん研有明病院という所に勤務しています。
毎週月曜の18時から行っている、胃癌術前のカンファレンスの中でかならず30才代の胃癌の患者さんが1人はいらっしゃいます。ときには進行胃癌の方もいます。
このような患者さんをみると20才もしくはそれより前にピロリ菌がチェックされていたら、このようなことにはならなかったのでは、と考え、この会の重要性がひしひしと感じられます。
最近では鼻から挿入できる内視鏡もでき、らくに胃カメラ検査ができるようになったので、ピロリ菌チェックとともに内視鏡検査もうけましょう。
理事 保谷 芳行(東京慈恵会医科大学附属第三病院)
癌はいろいろな原因で発症します。もちろん発生原因がわかっていない癌もあります。
その中で胃癌はヘリコバクター・ピロリ菌の胃内感染が主な原因とされています。したがって、抗生物質等でピロリ菌を除菌することで、胃癌の発症を抑制することが可能と言われています。
どんな病気でも早期発見が治療の鍵となりますが、早期発見よりもっと大切なことは、病気にならないための予防です。
私の専門は胃外科であり、手術・化学療法・放射線療法などを駆使し、胃癌を治療することです。
患者さんにとっては、胃癌になって治療するよりも、胃癌にならないように予防する方が望ましいと考えています。
したがって、ピロリ菌感染の有無を検査し、感染が確認されたら若いうちに除菌することをお勧めします。
しかし、もし胃癌になってしまったら、病気にあった適切な医療を提供できる信頼のある医療機関を受診してください。