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検査について

ピロリ菌が見つかったら

内視鏡検査を行っている医療機関へ
検査結果を持って近くの消化器内科、胃腸科を受診してください。クリニックでも病院でもどちらでもよいですが、胃内視鏡検査を行っている医療機関を受診してください。
ピロリ菌感染があった場合に最も大事なことは、胃がんができていないかどうかをチェックすることです。そのためには、胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けてください。胃内視鏡検査では、胃がんができていないか、胃潰瘍・十二指腸潰瘍がないか、胃粘膜の炎症の程度を観察します。また必要に応じて組織を採取して調べます(生検)。
胃内視鏡検査のあと、現在ピロリ菌が存在するかどうかを、迅速ウレアーゼ法、鏡検法、培養法、尿素呼気試験、便中抗原検査などでチェックします。
血液や尿で調べる抗体検査は、ピロリ菌と戦った成分―抗体を調べる方法なので、過去の感染を調べる方法なのです。過去に感染があり、除菌治療を受けていなければ、現在も引き続き感染があることが多いわけですが、中には風邪などの症状で抗生剤をのんだりしたとき、粘膜の炎症による萎縮が進行して胃粘膜が荒廃しピロリ菌も住めなくなったときに、ピロリ菌いなくなってしまうことがあります。
胃内視鏡検査とピロリ菌の感染を確かめる検査は、健康保険の適応となっていますので健康保険診療(若いかたは3割の自己負担)で受けることができます。
ピロリ菌の存在が確認できれば、除菌治療を受けます。

服用イメージ除菌治療は服用で
除菌治療は、三剤併用療法が標準です。初めての除菌治療は(一次除菌)、胃酸を抑える薬(PPIあるいはP-CAB)と抗生剤2種類(ABPCというペニシリンとクラリスロマイシンというマクロライド系抗生剤)を1日2回(朝食後と夕食後)1週間のみます。
1回目の成功率は70~90%です。
1回目でピロリ菌が残ってしまった場合は、2回目の除菌治療(二次除菌)を受けます。2回目は、胃酸を抑える薬(PPIあるいはP-CAB)と抗生剤2種類(ABPCというペニシリンとメトロニダゾール抗原虫薬という抗菌剤)を1日2回(朝食後と夕食後)1週間のみます。
2回目の成功率は90%です。
除菌治療は2回まで、健康保険の適応となっていますので健康保険診療(若い方は3割の自己負担)で受けることができます。
二次除菌まで受ければ、97~98%の方が除菌できます。

除菌が成功したかどうかの判定は除菌治療終了後、1か月以上間隔をあけて検査します。検査方法は、薬を内服して吐く息を集めて検査する方法―尿素呼気試験が推奨されています。尿素呼気試験で判定が微妙な場合は、便中抗原検査あるいは血清抗体検査などを追加することもあります。

除菌が成功したら
もう安心!ではありません。
上村らの胃がん内視鏡治療後の研究より、除菌治療が成功すると将来胃がんになる危険は1/3程度に減ることが期待できますが、ゼロになるわけではありません。浅香らによれば、若ければ若いほどこの胃がんの予防効果は大きく二十歳代であれば、99%は予防できるといわれています。 ピロリ菌感染によって胃の粘膜に起きた慢性的な変化(萎縮性胃炎や鳥肌胃炎)は除菌後軽くはなるものの、残ってしまいます。萎縮のある胃粘膜あるいは鳥肌のように小さな隆起が広範にできてしまった胃には、胃がんの発生する危険が高いことがわかっています。除菌治療後5~6年してから胃がんが発見されることは決して珍しくありません。
除菌治療後は、1年に一度の胃内視鏡検査(胃カメラ)による経過観察が極めて重要です。

尿中抗体検査の正診率は、85.6~95.8%といわれています。10人検査をすると、1人くらい本当はピロリ菌の感染があるのに、感染がないと診断されてしまう可能性があります。
尿中抗体検査が陰性でピロリ菌感染がないと言われても、念のため35歳あるいは40歳になったら胃がん検診を受けてください。 検査の正確さには限界があることをご理解ください。

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